2013年7月21日 星期日

Ray Bryant - Ray Bryant Trio (1957)





























Personnel:
Ray Bryant - piano
Ike Isaacs - bass
Specs Wright - drums

Tracklist:
01. Golden Earrings
02. Angel Eyes
03. Blues Changes
04. Splittin'
05. Django
06. The Thrill Is Gone
07. Daahoud
08. Sonar


レイ・ブライアントといえば、やはり1957年に録音された「RAY BRYANT TRIO -prestige 7098-」のすばらしさが特筆ものだと思います。

この充実した演奏を聴いていると、彼の年齢が当時26歳であったことなど俄かには信じられません。 35分に満たないアルバムですが、与えてくれる充実感と安らぎは格別のものがあります。 

これは大方のリスナーにご同意いただけるものと思われますが、何といっても、「Golden Earrings」の演奏が白眉です。

この曲は、ミッチェル・ライゼンが監督しマレーネ・デートリッヒが主演した同名の映画(邦題は「黄金の首飾り」)で、ビクター・ヤングが作曲しマレーネ・デートリッヒが歌ったもので、ペギー・リーがカバーして大ヒットしたことでも知られています。

サラサーテのツィゴイネル・ワイゼンに酷似したハンガリーのジプシー民謡をモチーフに作られていて、お聴きになれば、ああなるほどあれか、とご納得いただけるのではないでしょうか。

それほどの曲ですから、ケニー・ドーハム、バッキー・ピザレリ、エディ・ヒギンズ&ジョン・ピザレリや、あのフランク・シナトラまでカバーしています。 しかし、そうした数々の名演の中にあっても、私はやはり、この「RAY BRYANT TRIO」の演奏を第一にあげたいと思います。

レイ・ブライアントは、一聴するに誠にさりげなく弾いているようにみえますし、他の二人もサポートに徹して、決して前面に出ようとはしません。 それでいながらこのすばらしいバランスと見事に格調高い演奏を成し遂げているのです。

 レイ・ブライアントの右手の軽やかでいながらエレガントなタッチに胸をときめかせているうちに、それをしっかりと支える左手の分厚い和声と重みのある低音、そして助演者たちの確かなテクニックに痺れてくることでしょう。 特に、アイク・アイザックスのベースはすばらしい! これぞトリオのベースのあるべき姿!というべきではないでしょうか。 

この曲は、youtubeにもアップされていたので、ご参考までに紹介します。

   


二曲目の「Angel Eyes」のピアノソロも、これまたすばらしい。 先ほど書いた右手と左手の役割分担の効果が、際立って明瞭に感じられます。

この曲はマット・デニスの作曲ですが、「Golden Earrings」に続いて、冒頭からの二曲にMoll(短調)が配置されていることは、とりわけ日本人の好みにマッチするのではないでしょうか。

しかも途中でそれがさりげなくDur(長調)にかわるのですから、たまりません。

私は主にクラシックの曲を聴いてきた者ですが、このような精緻なテクニックに裏付けられた演奏を聴くと、それまでの自分がいかに狭い世界の中だけに凝り固まっていたのかが切実に感ぜられます。

多くのヴィルティオーゾ達が、そうした垣根を軽々と越えた演奏を届けてくれているというのに、提供を受ける側が頑なではお話になりません。

ということで、私は(そんな自分自身の反省も含めて)この「Angel Eyes」を強くお勧めするものです。 

そして三曲目、くるりとDurに転換して、レイ・ブライアント自身が作曲した「Blues Changes」が開始されます。

これまた何というご機嫌な曲でしょうか!

それまでの哀愁を帯びた曲調からの、この見事な変り身も聴きものです。 

こんな調子でいちいち書いていたのではキリがありませんから、この辺でやめておきますが、個々の演奏のみならずこのアルバム全体のバランスは、誠に以て絶妙です。

日頃、ジャズに馴染みのないリスナーでも心地の良い境地に誘われることでしょう。

特に、日曜日の日暮れ時に夕焼けを眺めながら聴く、とか、静かな雨の日にこの演奏に浸る、などというシチュエーションは堪えられないものではないかと思います。

そうそう、「Daahoud」も最高です。

この曲では、助演のアイク・アイザックスもスペックス・ライトもノリノリで、ジャズのスウィングとは斯くのごときものか、と聴いていて心底感動しましたね。

 BGMとして聴いても癒されることとは思いますが、私の経験上、例えば何かの作業をしながら聴いていても、ついついその手を止めて引き込まれてしまうような一枚です。

以前、堀内修さんがフルトヴェングラーの演奏を表して、畳に寝そべってかりん糖を食べながら聴いていても、いつしかその手を止めて聴き入ってしまう、あるいは、知らないうちにすっかりかりん糖の袋が空っぽになってしまう、といったような表現をされていましたが、この「RAY BRYANT TRIO」は、正にそんなCDの一つではないかと感じました。

http://okkoclassical.blog.so-net.ne.jp/2011-08-03


私は、日曜日の日暮れ時に夕焼けを眺めながらこのアルバムを聴いた。
誠に絶妙です!


沒有留言: